今日の一曲 5/18
EXIT / AJISAI
漠然とした話だけれども、私は音楽が好きだ。
そう自覚し始めたのは、いつのことだっただろうか。
ただ、私に様々な音楽との出会いをもたらしてくれたのは、紛れもなくラジオであったことはよく覚えている。
持っていたガラケーに搭載されていたFMラジオ機能。
スマートフォンに買い替えるまで、勉強時間や寝る前には決まってオン。
いつも地元のローカルラジオ局にチューニングしていた記憶がある。
緊張で一晩中、胸が締め付けられていた受験直前。
前の日の部活で大失敗して、家を出るのが限りなく憂鬱だった朝。
数年先の未来が全く見えなくて、進路選択に悩んで苛立った夜。
―――気が付けば、逃げ出したい時ほど、音楽に寄り添ってもらっていたように思う。
先日、部屋の大掃除をした際に、当時使っていたガラケーを発掘。
せっかくなのでラジオ機能を起動させてみた。
数年前、最後に起動した時と変わらない周波数を拾い始める…。
その時スピーカーから流れてきたのは偶然にも、今となれば幾度となく聴いたイントロのギターだった。
『誰かに見つけて欲しいんだ 誰かと繋がりたいんだ 出口は無くとも わずかな光を探してる 今でも』
何もかも投げ出したいと思った数年前のとある夜、この曲が小さなスピーカーから流れた。「この曲を忘れちゃいけない」と咄嗟に感じ、すぐさまタイトルとアーティスト名をメモした。
それから今まで、折れそうな時は決まってこの曲を聴いている。
あの瞬間に電波が運んだ、儚くも力強いこのメロディーは、きっと何年経っても私を構成する一部であり続けるのだろう。
気づかぬうちに寄り添い、いつの間にか記憶になって、忘れた頃に自分に還元される。
音楽はこれだから、離れられない。